251021 真顔

今日の特集が上田啓太さんで、それにつられて上田さんの書き物をいくつか読み直したんですが、上田さんの書き物って本当に鮮烈におもしろいですね。上田啓太さんを読んで「テキストサイト時代の人って文字だけでこんなにおもしろいものを書けるんだな」って思ってもらったら困りますよ。みんな、こんなにおもしろくありません。上田啓太さんだけです。ここまでおもしろいのは。

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ここらへんが書かれたのはたぶん7,8年前?ぐらいだと思うのでとっくにテキストサイト時代なんか終わってヒカキンとはじめしゃちょーがインターネットの中心にいた頃なんですが、それでも文字だけでめちゃくちゃウケていた上田さんはかなりかっこよかったです。もし読んだことがなかったらぜひ。

 

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上田さんはおもしろいテキストも魅力ですが、それ以上に、好きなマンガの好きなところについて書いているときの文章が本当にすさまじいです。『引き込まれる』という表現をするほかない。構成、洞察、切り口。本当に、世界一うまいと思う。上田さんが書いた『スラムダンク』評を読むと、初めて『スラムダンク』を読んだときのあの心の沸き立つような感覚が帰ってくるようで、びっくりする。

 

今年5月に新婚旅行でマレーシアに行ったときの飛行機で『ヒカルの碁』を久しぶりに読んで、本当におもしろかったんです。「やっぱりこれはすげえマンガだ」って、とにかく夢中で読んだ。飛行機を降りてからもスキあらば『ヒカルの碁』を読んでいた。佐為と塔矢名人の対局に滾り、関西棋院の社に負けた本田くんが焼き芋屋のおじさんと会話をするシーンで涙した。ボルネオ島で、涙した。『ヒカルの碁』はとにかくおもしろすぎる。

帰国後、その経験をnoteにまとめて書こうと思ったんですが、いざ『ヒカルの碁』のおもしろさを文章にしてみようと思うと、これが全然うまくないんです。おもしろいもののおもしろさを表現するのって本当に難しい。いくら書いてみても『ヒカルの碁』の魅力が伝わるように書くことができない。

それに対して上田さんはどうだ。上田さんの『ヒカルの碁』評、もはやコマの切り抜きすらないその文章を読むだけで、『ヒカルの碁』のおもしろさが内からよみがえってくる。すごい。とにかく読みやすい。整然としていてよどみがない。するする入ってくる。分析の鋭さはもとより、それ以上に構成の巧みさに見惚れてしまう。

なんか、落ち込んだな。力量の差をまざまざと感じた。遠すぎる。写経しようかな。切り口の鋭さは真似できないが、構成は存分に模倣するべきだ。俺も文章がうまくなりたい。

 

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